項目 | スコア | コメント |
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クッション性 | ★ ★ ★ ★ ★ | GEL-KAYANO 32最大の魅力は、その圧倒的なクッション性にあります。ミッドソールには軽量でソフトな「FF BLAST PLUS」フォームを全面に採用し、前足部のスタック高が前作比+2mmの厚底仕様となりました。ヒール部分には新開発の衝撃吸収材「PureGEL」を内蔵し、かかと着地の衝撃を優しく受け止めて足への負担を軽減します。ヒールスタック高40mmの分厚いクッションは、着地の度にまるで高反発マットレスの上を走っているかのような柔らかな感触を提供します。しかも沈み込みすぎない適度な硬さがあり、高い反発力で蹴り出しをしっかりアシストしてくれるバランスの良さも魅力です。結果として長時間のジョグでも脚が守られて疲労が蓄積しにくく、脚への優しさという点で非常に完成度の高いクッショニングと言えます。 |
安定性 | ★ ★ ★ ★ ★ | このシューズのもう一つの柱が安定性です。ASICSラインナップ随一のスタビリティモデルだけあって、オーバープロネーション対策として非常に優れた構造になっています。ミッドソール内側を立体的に広げた設計と、アーチ部に配置された高反発フォームにより、走行中の過度な内倒れをしっかり抑制します。さらにヒールカウンターの剛性が高く、靴底の接地面積も広いため、一歩一歩の着地で足がブレにくく安定します。特に長距離走の後半でフォームが乱れてきても、シューズが足運びを矯正ガイドしてくれるので、疲労時にもフォームを保ちやすい安心感があります。 |
軽さ | ★ ★ ☆ ☆ ☆ | 300g前後(メンズ)の重量は、現代のランニングシューズとしてはかなり重めの部類です。実際、手に取るとズシリとした質量を感じ、足を入れた瞬間にも「軽快さ」とは正反対の重量感があります。走り出してみるとその重さは一層際立ち、ペースを上げようとすると足の運びがやや重く感じられます。ジョグ用途であれば許容範囲ではあるものの、テンポ走やインターバルなどスピードを要する場面では明らかに負荷となり、重量によるストレスが増大します。 |
コスパ | ★ ★ ☆ ☆ ☆ | 定価22,000円(税込)という価格は、日常のトレーニングシューズとしては最高級の価格帯です。クッション性・安定性・グリップ・耐久性など性能面は充実していますが、用途がジョグ中心でスピード性能や軽量性を追求しないモデルであることを考えると、コストパフォーマンスの面では見劣りします。同価格帯ではより軽快なモデルや汎用性の高いモデルも手に入る中、GEL-KAYANO 32は「脚を守る」という特定の機能に特化している印象です。 |
履き心地 | ★ ★ ★ ★ ☆ | アッパーは柔らかなエンジニアードメッシュで足全体を優しく包み込み、分厚いアンクルパッドがかかとからアキレス腱までしっかり支えてくれます。シュータンは内側でアッパーとつながるガセットタン構造になっており、走行中にずれたり圧迫を感じたりしにくくなっています。足入れした時の感触は全体的にソフトで快適です。ただしシューズ自体にボリュームがありパッドも厚めなため、足幅が極端に狭い人やタイトなフィット感を好む人にはややルーズに感じるかもしれません。 |
デザイン | ★ ★ ★ ★ ☆ | デザインに関しては、いかにもASICSらしい実用性重視の外観で、機能美を追求したような無骨さがあります。カラー展開は落ち着いたトーンが中心で万人受けしますが、ファッショナブルな派手さや細身のシャープなシルエットを求める人には物足りなく映るかもしれません。厚みのあるソールと全体のボリューム感が際立つため、ファッション用途のスニーカーというより「走るためのギア」という印象が強く出ています。性能重視の堅実なルックスゆえに地味に感じる向きもありますが、履いて走ればその快適性にきっと満足できるはずです。 |
通気性 | ★ ★ ★ ★ ☆ | アッパー素材には通気孔の多いエンジニアードメッシュが使用されており、部位ごとに編み方や孔の大きさを調整することで通気性を高めています。そのため足全体を包み込みつつもしっかりと風が通り抜ける構造になっており、夏場のランでもシューズ内が蒸れにくく長時間快適さを維持できます。厚めのクッションパッドや重めの素材感ゆえに「極端に涼しい」というほどではないものの、一般的なトレーニングシューズとしては十分高い通気性能を備えています。 |
スピード性能 | ★ ★ ☆ ☆ ☆ | GEL-KAYANO 32は明確にスピード走向けのシューズではありません。厚いクッションと重さの影響で、ペースアップするとどうしても足捌きにもたつきを感じがちです。反発素材自体は使われていますが、それが推進力に直結するような爆発的反発ではなく、あくまで「柔らかさの中に控えめな反発がある」という印象に留まります。ペース走やインターバルなどスピードレンジの高い場面で使うとシューズの重さと相まって脚への負担が大きくなりやすく、ジョギング~ミドルペースまでが快適に走れる上限と言えるでしょう。 |
グリップ | ★ ★ ★ ★ ★ | アウトソールにはASICS独自開発のラバー素材が前足部と踵に配置されており、高い耐摩耗性を持つ「AHARPLUS」と路面をしっかり捉えるグリップ力の強い「ASICSGRIP」を組み合わせたハイブリッドアウトソールになっています。接地面積が広いことも相まって、乾いた路面はもちろん濡れた舗装路でも安定した接地感と高いトラクションを発揮します。雨天や冬場の滑りやすい路面でその真価を発揮し、常に高い安心感をもたらしてくれます。 |
耐久性 | ★ ★ ★ ★ ★ | アウトソールのラバーは厚みがあり磨耗に強く、特につま先部とかかと部に使われているAHAR+ラバーは通常ラバーの約3倍の耐摩耗性を持つとされています。ミッドソールのFF BLAST PLUSフォームもへたりにくく、数百キロ以上走ってもクッション性と安定性を大きく損ないません。アッパーもしっかりしたメッシュ素材と丁寧な縫製・接着で作られており、激しい使用でも破れや剥がれが生じにくくなっています。結果的に長く使いたいランナーにはコストメリットの高いモデルです。 |